中村紘子さんのチャイコフスキー演奏に聞きほれた
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夫から貰った、放送大学教材『西洋音楽の歴史』(笠原潔 著1997.3.20発行388頁)の中にチャイコフスキーの記述はない。
同性愛者だという噂が絶えなかったチャイコフスキーは、その世間の噂を打ち消すように、熱烈なファンレター(恋文)を送ってくる貴族の娘アントニーナと結婚する。
2024.9月に再公開の映画「チャイコフスキーの妻」を見たいけど上映館が少ないな。
巴里の五輪が終幕を迎えた頃の土曜日の夜、NHKETVアーカイヴスの番組放映で「中村紘子・チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ長調作品23」を見ることができた。
ズデニェック・ユヤール指揮NHK交響楽団の1981年の演奏収録である。
中村さん。溢れでる至高のピアノ旋律。15才で世界を魅了した天才の指先から私はとても目を放せない。
世界の文学や音楽を牽引したロシアの大地。戦争と平和がなぜ綴れ織りになるのか、私にはわからない。
ロシアのなかには、東亜と西洋が混在している。そらが独自の芸術音楽文化を創造してきたのかも。と、夫はこんな話をしてくれた。
「ユーラシア大陸はウラル山脈を境にしてヨーロッパとアジアに分けられる。
つまり、ロシアの領土はヨーロッパとアジアにまたがっているということ。
でも、国連の地域区分によるとロシアはヨーロッパに分類されている。
それは、ロシアの政治の中心、首都モスクワがヨーロッパ側ロシアにあるから。
ロシア人口の8割はスラブ系の白人で、言語はスラブ語派ロシア語が公用語。
宗教はロシア正教が信仰されている」
「音楽的には西洋の力強く、歌う旋律、多用される鐘の音、これに比べてロシア音楽は、力強く、スケールが大きく、メロディの抒情性に特徴があるんだ。
それは、トルストイやドストエフスキーそして、とくにプーシキンの文学的な影響が強いんじゃないかな。プーシキンの遺した美しい韻によるロシア語の言葉はリムスキー・コルサコフ、チャイコフスキーからラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチに至るまで、歌曲やオペラの中に使われているよ」
Bye the way
結局、夫の話の中に出てきた人々の名前は故笠原潔先生の本『西洋音楽の歴史』の中には出てこなかった。
ただ、一か所、ロシア正教のくだりがこうあるだけである。
「ビザンツ教会のスラブ布教の結果、誕生したのが、スラブ諸教会で、その代表的なものがロシア正教である。
ロシア正教は幕末に日本に渡来し明治期以来の布教活動を通じて日本にもよく知られている。
さて、本題の音楽療法のお話をいたします。
現代人の免疫力が落ちていることは、とくに先進国の大きな問題です。
免疫系に関わる疾病としては、感染症、アレルギー、ガンがあげられます。
現代人の悪い生活習慣や精神的要因によって免疫力が衰えます。
日本人は外国人に比べて免疫力が落ちているともいわれています。
この免疫力を回復させるには交感神経と副交感神経が規則正しいリズムで働くようにすることが大切です。
「トマティス理論」によれば約3000ヘルツ以上の高周波が効果的とのこと。
コンピューターの解析によってモーツァルトの音楽は最適であることがわかりました。
解析の一つを紹介しますと、モーツァルトのピアノソナタ第15番ハ短調(K545)などを30分間聞いてもらった結果、音楽のよって成熟度をましたNK細胞の数がアップすることが明らかになっています。
今回の最後に先年私が書いたエッセイを掲載させてください。
『ピアニストという蛮族がいる』
中村紘子にいわせると、ピアニストは蛮族であるらしい。
その著書の『ピアニストという蛮族がいる』によると、この種族は奇人変人頓珍漢ばかりだそうだ。
といってもこの蛮族はいずれも天才ピアニストばかりで、例えばキャンセル魔のミケランジェり。
その理由を聞かれると「私は大変高額のギャラをもらっている。
それなのに不十分な演奏をしたら聴衆に申し訳ない」と大真面目であったそうな。
さて当の中村自身が自分をどう思っていたかは定かでないが、この天才少女として世界にデビューした中村と違って私がピアノを始めたのは10歳の頃である。
三女の私に母は「ピアノを習う」というとすぐにピアノを購入してくれた。
あれから60年以上が経ち、私はまあBの上くらいのピアニストだと思う。
だから野蛮な蛮族とは違い優雅な種族と思うのだが。どうだろうか。
よく言われることだが何事も1日8時間4年頑張ればその道のプロに近づくそうだ。
私は積算すればもうその通過点をはるかに超えているのだけれども。
母が買ってくれた初代のピアノから今は三代目。
猫足が気に入って買った。イタリアンモードでいまは「ハバネラ」を弾いている。
3年ほど前から私たち夫婦は故郷広島を往復する生活を始めた。
夫が東京の仕事をリタイア。
広島県廿日市のちいと山の中の山荘で作文生活を始めたからである。
私は夫に付き合って春と秋に1年に3カ月間をそこで過ごすようになった。
彼は冬場だけ東京に帰京して春がくると広島に帰郷する。
私の3カ月間は近くの市民センターのピアノをお借りして弾くことになる。
浅原市民センターには二台アップライトピアノがあって「ヤマハ」と「カワイ」である。
私はカワイのクラシカルで優しい音色が好きでこちらをお借りしている。
ピアノはなんといっても楽器の王様女王様。
世界中には2,000ものピアノメーカーが存在する。
そのブランドトップ5を紹介すると。
第1位はやはりスタインウェイ。
1台1台を職人が一年かけて作り上げる逸品だ。
2位ボールドウィン。
3位ヤマハ。
大量生産の高音質はさすがメイド・インジャパン。
4位カワイ。
5位チャールズRウォルター。となっている。
ピアノは人間同様に湿度が苦手。
だから日本の高温多湿な気候は彼らにとって良い環境ではない。
欧州のカラリと晴れた気候が彼らには最適だ。
数値で示すと温度20度。湿度50~60パーセントとなる。
私自身、我が家の女王様(我が家ではピアノは当然女性)に不快な思いをさせないように梅雨時から夏には除湿剤を彼女の足元に入れるなどしている。
さて、お世話になっている廿日市のピアノだけど、職員の大下さんに尋ねると1年1度はピアノの調律を依頼しているそうだ。
老婆心ながら「時々、蓋を開けてあげてね」と蛮族のなりそこないは指示をだしてしまう。
「やはり広島市内からピアノ調律士はくるのだろうな」これは頭の中で思っただけ。
実は料金のことも頭をかすめたが、私は蛮族ではないから口にはださなかった。
我が家にも1年1度ピアノ調律士がやってくる。
青葉ピアノからの出向で、彼が契約社員なのかフリーの請負なのか私はしらない。
たいてい昼食後にやってきて調律にかかる。
鍵盤、アクションのフェルト、ピアノ線。フレームの確認などに約1時間半ばかりかかる。
最後にポロポロと音の確認をして、若い彼は微笑む。
それが終わりのサイン。
紅茶にビスケットを出して、最新ニュースを聞き出す。
料金は2万円。いつもぽっきり。
彼が帰ったあとで、私は夫の愛読書『ビル・ゲイツの面接試験』の中にこんな設問があったのを思い出した。
Q 世界中にピアノの調律士は何人いるでしょうか。
中村紘子さんのオタマジャクシ数え、ようは頭脳勝負ということか。
今日来た彼は1日に3台から4台のピアノの調律をして1週15から20台。1年50週で1,000台か。
それを世界にあるピアノ台数で割り算する。世界では数が多すぎる。
ので、日本に置き換えてみよ1億2千万人口で世帯数は3で割る。といくら。
ここらで眠くなる。
こんな面接試験マジか。
私の大事なピアノは1台だけだと、ピアノの前に座る。
こんな本を面白そうに読んでいる夫、あの男もかなりの変人に間違いない。
前出Qの答えは『ビル・ゲイツの面接試験』を見てくださいませ。
中村紘子さんは文章家としてもよく知られています。
1989年度大宅壮一ノンフィクション賞受賞の『チャイコフスキーコンクール』はじめ『ピアニストという蛮族がいる』は文藝春秋読者賞を受賞しています。
ではまた次回・・アリベデルチ・ローマ・・

